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この世界にはまだ歌われていない歌がある。
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インナーティーチャーと南方熊楠と天狗

インナーティーチャーと南方熊楠

メルマガ『ブッダスクール通信』齊藤つうり特別コラムより

 

ドラマ「らんまん」でもとりあげられた
南方熊楠は、未だ並ぶものがいない超人として
知られている。

南方熊楠はどこにも所属することがないフリーの
学者でありながら、博物学、民俗学、人類学、
植物学、生態学、天文学などあらゆる領域を
股にかけ、20以上の言語を自在に操り、
ネイチャー誌に51の投稿を行い(この記録はいまだ
前人未到)、「知の巨人」と称されている。

そして同時に彼は破天荒な人格としてもまた
有名だ。

熊楠はいつでもゲロを吐き出すことができる
という特技を持っており、喧嘩の際にはゲロを
吹きかけたため、相手は逃げ出し、負けなし
だったという。

また壁中にゲロを吹きかけ、あるいは淫部を
アリにかませ、菌の研究を行ったという。

そんな熊楠が超心理学まで手を伸ばし、
体外離脱や霊魂について書いていることは
意外にも知られていない。そしてそれは
熊楠自身の体験によるものであることも。

南方熊楠は商家の出であり、家には学問を
志す者はいなかった。しかし彼は難解な図鑑や
辞書を記憶にそのまま残し、すべて書写できる
という能力を12歳にて発揮した。

そして植物や生き物の標本を集め、独自の
研究を行っていた。そのため周囲の人間と
自分自身の存在のありようの違いに
戸惑っていた。

家族や世間に強烈な違和感を感じるものの、
その違和感をどのように扱って良いのか、
自分自身の内側から溢れる興味とエネルギーを
どこへ向けて良いのかに悩み、困惑していた。

その頃、少年熊楠は幻覚に悩むようになる。

実在しない人物が見え、彼に話しかけるように
なった。周囲の人間は熊楠を狂人として扱う
こともあり、特に先生たちは彼に対して
本当に手を焼いていた。

そんなある日、学校を抜け出した熊楠は
導かれるように熊野の森に入り、気がつくと
霊山である御坊山にいた。
そして彼は天狗と出会った。

大いに驚き戸惑う少年熊楠に、天狗は
こう語りかける。

「お前は私の力を授かった存在である。
その智慧は人間のためのものではない。
目標をこの世界に置くな。永遠に目を向けよ」

少年の熊楠は頭では理解ができないが、
自身の魂の奥深くでこの言葉を受け止めた。

天狗は続けて「私はお前の過去でもあり、
未来でもある。私はお前をこれからもずっと
見ている」と告げた。

そして熊楠は自らの内にある魂との接続を
果たし、その結果、当時では不可能と思える
留学へと踏み出し、アメリカ、イギリスへと
単身で渡った。

そう。この天狗との出会いによって、
熊楠は熊楠自身になったのだ。
この天狗は熊楠のインナーティーチャーであり、
また彼自身のアカシックレコードでもあり、
彼の人生の青写真そのものでもあった。

熊楠の超人的な研究に対して、今だに追加研究が
続けられており、文化人類学者の柳田國男は熊楠を
「日本人の極限の可能性」と称した。

しかしその力の根源はたった一つだ。
彼は自分自身に出会い、それに従ったのだ。

私たちは誰しも社会やルールに従う。
けれど彼はただ自分自身の内側のルールを生きた。
そして彼は無限の愛を生き、無限の知性を生き、
無限の喜びを生きた。

熊楠のことを想うたびに、私は胸の内側が
とてもあたたかくなる。
その胸のあたたかさは

「私は私自身になっていく道を歩んでいる。
ただそれに従っていけばいいのだ」と私に
ささやきかけてくれる。

そしてその言葉は、私の魂の一番奥へ届く。

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